がん組織の内部では、栄養や酸素が不足した特殊な環境が形成され、がんの悪性化や薬剤耐性に大きく関与しています。本研究では、アルギン酸ゲルファイバーを利用して栄養と酸素の供給経路を人工的に形成し、腫瘍内部に生じる濃度勾配を再現できる三次元培養デバイスを開発しました。これにより、生体内の腫瘍に近い環境で細胞の増殖状態や低酸素応答を可視化でき、がん微小環境の解明や新たな抗がん剤評価への応用が期待されます。
がんの診断や治療に利用される抗体やペプチド、アプタマーなどの分子を効率よく探索するため、細胞培養と分子選別を一体化したマイクロ流体デバイスを開発しました。複数の非標的細胞チャンバーを通過させることで、正常細胞にも結合する不要な分子を除去し、標的細胞に特異的に結合する分子のみを回収できます。従来は手作業で行っていた複雑なスクリーニング工程を小型チップ上で自動化することで、新しい診断・治療用分子の探索を効率化し、創薬研究の加速に貢献します。
細胞培養チップにおいて細胞を均一に分散させることは、再現性の高い実験を行うために重要です。本研究では、独自のマイクロピラーアレイ構造を用いて細胞の流れを制御し、流路内で均一な細胞分布を実現しました。この技術は、細胞培養チップやOrgan-on-a-Chip、創薬評価デバイスの基盤技術として活用されています。
がんスフェロイドやマイクロカプセルなどの大型培養試料を扱うため、深いマイクロ流路を確実に制御できる空気圧式マイクロバルブを開発しました。独自の台形流路構造により、高い密閉性能と高速応答性を実現し、従来は難しかった大きな細胞集合体の操作を可能にしています。三次元培養デバイスや臓器モデルチップの高度化に貢献する基盤技術です。